新電力(PPS)への切替 デメリット
新電力へ売電先を切り替えることで「固定価格+1円 / +α円」での売電が可能になったり、「メンテナンスが無料」で受けられたり、一般電気事業者ではおこなっていないサービスを受けることが可能になります。
ただ、どうしてもメリットに目が行きがちですが、ここではデメリットについても考えてみたいと思います。
メリットについては⇒「新電力への切替 メリット」
新電力へ切り替えるデメリット・問題点
新電力によってサービスの内容が違っていたり、サービスの対象が限定されていたりするので、デメリットと共にそういった問題点もみてみたいと思います。
主に考えられる点は以下です。
固定価格が32円以下の場合、買取が出来ない
これは、現在買取をおこなっているほとんどの新電力に該当します。
※但し、NTTスマイルエナジーの『エコめがねプラス』では、固定価格32円・27円まで「+1円」での買取が可能です。
⇒『エコめがねプラス』へ切り替えて、買取価格を「固定価格+1円」に!
再生可能エネルギーを電力会社が買い取る際、固定価格買取制度により一定の金額が補助されることとなっています。
⇒固定価格買取制度と回避可能費用
この制度上、固定価格が低くなると補助金の割合が下がることになり、買取をおこなう電力会社の利益が薄くなってしまいます。そこで、現在は「固定価格が32円以下の発電所」に関しては電力の買取を行っていない新電力がほとんどとなっています。
ただ、今後、電力の小売が全面自由化されることで電力会社間の競争が進み、電源となる発電所の買取需要も上がることが予想されます、そうなると固定価格32円以下の発電所にも何かしらのサービスが付加される形で買取がおこなわれると考えられます。
発電をおこなっている電力会社のエリアによっては買取に対応していない
現在、一般電気事業者に売電している場合、その地域になる電力会社が買取をおこなっています。例えば、東京電力のエリア内で発電をおこなっている場合は、電力買取をおこなうのも東京電力です。
これは、基本的に電気の供給において地域をまたがないことを意味しており、新電力も同様となっています。
つまり、新電力が電力の買取をおこなった場合、買い取った地域で電力の販売・消費がおこなわれるのですが、その地域で小売先が開拓出来ていない場合、販売先がない為、買い取り自体を行わないケースがでてくるのです。
しかし、これも自由化が進むにつれエリアが拡大されると予想されています。
設備容量によっては買い取れない場合がある
新電力の電力買取には各社のキャラクターがあり、低圧のみ取り扱い・高圧のみ取り扱い、家庭用の余剰電力も可能だったり、また高圧の買取をおこなっていても、その中で500kW以上の発電所のみ買取が可能であったりと、色々な条件があります。
高圧発電所の場合、有料でパルス型のメーターへの交換、売電監視システムの導入が必要になる
50kW以上の高圧発電をおこなっている方の場合、売電先を新電力に切り替える際、メーターの交換・売電監視システムを有料で導入しなければならない場合があります。
メーターの交換は一般電気事業者がおこなうため、電力会社によって料金に開きがあります。地域によっては工賃が無料のところもあるようですが、最大では30万円とかなり高額な料金が必要になるようです。
売電監視システムは、保守やメンテナンスの為の監視システムとは異なり、新電力が売電量を監視するために必要なものとなっています。こちらは、月額料金で5000円や、一括での購入で30~50万円となっています。
新電力は倒産する恐れがある
これが、もっとも心配されるポイントだと思います。
売電先を新電力へ切り替えて売電価格が上がっても、新電力が倒産し売電収入がとまってしまっては元も子もありません。
Q.倒産など新電力が買取不能に陥った場合どうなるのか?
A.最も安全な方法は一般電気事業者に売電先を戻すことです。電力会社は「再生可能エネルギーに関する特別措置法第四条」により、電力の買取が義務付けられており、買取を拒否することが出来ません。
Q.その場合の買取価格はどうなるの?
A.始めに売電を開始した際の固定買取価格が適用されます。
Q.では、買取期間は?
A.残っている買取期間が継続されます。
例)
50kWの太陽光発電の電力を固定価格36円で一般電気事業者に売電開始、1年後に「36円+1円」のプレミアム買取の新電力A社に売電先を切り替え、2年後に新電力が倒産したので一般電気事業者に再切替した場合。
買取期間…売電開始後3年経過してますので残存期間17年の買取となります
買取価格…当初、一般電気事業者に売電していた36円になります。
また、この場合の切替に掛かる期間は緊急時の切替ということもあり、最短2日で戻せたケースもあります。
切り替えまでに時間が掛かる
新電力へ売電先を切り替える場合、低圧で2~3ヶ月、高圧では約6ヶ月ほど掛かります。
また、売電を開始した際に経産省から届いた書類や、仕様書・図面などの資料が必要になります。提出書類に不備があった場合、切り替えにさらに時間がかかりますので、必要になる書類はチェックしておき、念のためコピーをとっておきましょう。
また、手元にない場合は太陽光の販売会社や施行会社が保有している場合もありますので、確認が必要です。
売電料金の振り込み間隔が変わる
低圧での電力買取をおこなっている新電力の多くは、振り込みを3ヶ月まとめて支払うように変更している場合が多くなっています。
ローンで太陽光発電所を建設し、売電料金で支払いをおこなっている方は2ヶ月間は売電収入がストップしてしまいますので、決済が回るのか注意が必要です。
なぜ、3ヶ月のまとめて振り込みになるのか?
例えば10kWの太陽光発電所で年間1,000kWhの発電量だとすると、固定価格に「+1円」されることで年間10,000円の増収になります。
ただ、これを12ヶ月で割ると月間830円ほどになってしまい、振り込み手数料を考えると余りメリットが無くなってしまいます。こういった理由もあり、3ヶ月ごとの振り込みで対応しているようです。
また、同じような理由で経費を削減するため、紙の明細書を発行しないところも多くなっています。
高圧の場合は逆に、ほとんどが毎月の支払いとなっています。
まとめ
発電をおこなっているエリアや、売電している固定価格によって買取が出来ないなどの問題点があります。ただ、この点に関しては、今後、新電力が更に事業規模を拡大するとともに対応可能になります。
また、新電力の事業に対する信頼度などは、万が一倒産など不足の自体に陥っても、元の電力会社に戻すことでクリアすることが出来ます。